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デイトレードの記録をメインとして日々の雑記を綴ります

株の本14 ウォール街のアルゴリズム戦争

この二週間くらいずっとこれを読んでました。
やっと読み終えたので本の紹介(レビュー)を。
タイトルの「アルゴリズム戦争」とあるように、トレーディングには人間以外の機械が多く入り込んでいます。
トレードをしていると目が追いつかないスピードで売買が行われている銘柄もあり、人間の反応速度では絶対に敵いません。
この本ではアメリカの証券市場の変遷を描いています。
いつからこのような高速取引が行われるようになったのか?
どんな人がアルゴリズムやプログラムを組んで株式市場に参入してきたのか?
この本ではその内容を知ることができます。

ウォール街のアルゴリズム戦争

ウォール街のアルゴリズム戦争

 

今日読み終えたばかりですが、ざっくりとした流れは大体こんな感じです。
読み直ししないままザ〜っと書いたため内容的に誤っている部分が多少あるかもしれません。

①1980年代の証券取引市場では人間がトレーダーたちの仲介をして仲介手数料を稼いでいた。
トレーダー間の情報をつかむことのできる仲介業者(ブローカー)がノーリスクで手数料を稼ぎ、時にはトレーダーから来る注文を無視することもあった。
さらに、この時代は株価も1/8ドルや3/8ドルなどの半端な数値で示されおりこの端数分が丸ごとブローカーの手に渡ることも多かった。

②株式を売買するトレーダーたちはリスクを取らないブローカーたちに搾取されていた。
そんな中、高校を卒業したばかりのプログラマーがブローカーを介入せずに株を売買するシステムを作る。
これが後に「アイランド」と呼ばれる株式マッチングエンジンの雛形となる。

ニューヨーク証券取引所は最初、電子取引での注文を一部だけしか設けていなかった。
この一部に大量の株式注文を出す。コンピュータでの売買は人間が仲介する売買よりも早く、効率的に売買できるためブローカーたちは反抗した。
ここから電子取引VS人間ブローカーの対決がはじまる。

④ニューヨークやナスダックなどの大手証券取引所は人間ブローカーを抱えており、アイランドなどの電子取引に強く抵抗した。
電子取引で売買できる銘柄を減らしたり、アイランド側の人間を訴えたりした。
そこでアイランドは電子取引専用の取引所を作った。
人間ブローカーがいない取引所を創設することで、安価で効率的に株の売買ができる市場を作った。

⑤最初から新しい取引所が受け入れられたわけではなかったが、徐々に存在感が大きくなった。
それはナスダックやニューヨーク証券取引所が無視できないレベルの取引所にまで育った。
ここでようやく電子取引が古参の取引所にも受け入れられるようになる。受け入れざるを得なくなった。

⑥アメリカにある取引所は50を超えていたが、全てが電子取引所として繋がっていた。
A取引所とB取引所で同じ銘柄が別の価格で取引されると、直ちにアルゴリズムが動いてこの価格差を利用し利益をあげた。
そして、さらなる流動性をもたらそうと取引所の売買執行制度に「メイカーテイカー制度」が採用される。
この制度は取引を作った側(メイカー)が取引所からお金をもらい、取引を引き受けた側(テイカー)が取引所にお金を支払うシステムだった。
(イメージ的には成り行き注文を出した方がテイカー、指値に置いた注文が刺さった側がメイカー)
しかし制度が取引を混沌化させ、市場が混乱する。

⑦この新しい制度では注文を作った側が取引所からお金をもらえるため、とにかく取引を作ることに専念したアルゴリズムが生まれた。
このアルゴリズムは成行買い注文を出すトレーダーが現れると先回りして、株を買ってしまう。
注文を出す前までは100円だった株価が101円となって買わされる。
このアルゴリズムを用いて市場にやってきたのが高速ブローカーだ。

⑧高速ブローカーたちはとにかく速く、強かった。
年金機構やゴールドマンサックスなどの大口機関投資家が買い注文を入れると全て先回りして高い値段でしか株が買えない。
その上、買い注文を出した自分たちは株を大量購入する場合はどうしてもテイカーとなるため取引所へ手数料を支払わなければならない。
高速ブローカーたちはノーリスクで大金を稼ぐことに成功した。

⑨そして取引所にとって高速ブローカーは出来高を増やすお客さまなので、複雑な取引注文を受け入れた。
〇〇のタイミングで株注文をキャンセルすると買いアルゴが走る。
複雑で何が起きているのかわからない注文を人間は目の前で見せられて、余分な手数料がかかっていった。

⑩高速ブローカーたちにとって速さが収益の根源となるためそのための設備投資を積極的に行った。
ニューヨークとシカゴをできるだけで直線に光ケーブルを繋ぐ。
こうすることで1000分の3秒だけ注文執行が速くなる。この速さが生き残りをかける勝負を左右した。
他にも証券取引所のサーバーの隣に自社サーバーを置くこと。
また電磁波でデータを送信した方が直線的光ケーブルよりも更に1000分の3秒速くなった。(嵐が起きると電磁波を遅れないためデメリットもある)

11高速トレーダーたちはしのぎを削って勝負していたが、過度な競争がおこり価格差を利用した手数料を稼ぐことが難しくなっていった。
その結果、インサイダーじみた情報を元に売買する会社でないと稼げない環境となってしまった。
行き過ぎた電子取引競争の結果は真っ当な勝者がいなくなった。

12それでは最近はどうなっているのか?と言うと、人工知能機械学習を活かしたトレードに回帰しつつあるようだ。
それは機械となったウォーレンバフェットのようなシステム。インターネット上から投資に必要な情報(雇用統計などの大きな情報からツイッターでの小さな情報まで)を読み取ってビッグデータで処理して売買する。
電子ブローカーと同じように利ざやを稼ぐのではなく、今後の需要を予測して前もって投資をする。
もちろんマイナスリターンが出てしまう時期もあるが、それでもS&P500よりはリターンの高いファンドが最終章に出てくる。
ある意味では人間的なトレードに近いが、人間とAIの複合的なトレード手法の可能性に触れて本書は終わっている。


⑥〜⑩は以前紹介したフラッシュ・ボーイズと重なる部分があります。
フラッシュボーイズでは①〜⑤の部分はあまり記述がありませんが、本書はむしろ①〜⑤に力を入れて書かれています。


本書を一言で説明するならば「アメリカ証券取引市場の電子化に至る歴史と今後」です。
特にアイランドを開発した一人に天才プログラマーを中心に描かれており、ウォール街の主役が入れ替わっていく物語です。
フラッシュ・ボーイズを面白く読めた方にはオススメです。
ただ本書は500ページくらいあるのでめっちゃ長いです笑
作者のスコットパタースンは「クオンツ」という本も書いていますが、説明が非常に丁寧な反面、長くダラダラとした文章になりがちだと本書でも感じました。
フラッシュボーイズを読んだ方なら⑥〜⑩をすっ飛ばして読んでも問題ないかなと思います。
この先は自分の感想です。
ビッグデータを利用して需要を先読みするアルゴリズムが主導を握るのではないか?として本書は終わっています。
業績予想の遥か先をいく需要予測が可能となる世界では、業績が上がる前に株価が上昇するケースが増えてきそうです。
この予想が当たっている場合だと会社の発表する業績予想などは全て「織り込み済み」となるため行き過ぎた株価は元に戻っていく(上げ過ぎなら決算発表で下げ、下げすぎならその逆)。
予想が外れている場合は「予想が間違っているっぽい情報」が先に入ってくるため、決算発表前に行き過ぎた株価が元に戻る。そして決算発表ではあまり上げ下げしない。
つまり、決算発表が大きなサプライズとなることは少なくなっていくのではないかと考えます。
少なくとも決算期待で株価が上がり、発表後もさらに上昇。こういったケースは減っていくのではないかと思います。
四季報を読んで投資!という手法よりもニュースがきっかけで上昇した株を持ち続けて決算前に売る方がアルゴリズムにあった手法なのかな〜と考えています。
まぁ新しい四季報もう買っちゃってるんですけどね笑
karita3.hatenablog.com